内歯車ポンプの動作原理と応用
内歯車ポンプは、産業、農業、自動車分野で広く使用されています。本ガイドでは、初心者向けに、かみ合い原理、吐出量計算、吸込圧力限界、および代表的な故障診断について解説し、QTシリーズおよびNBLシリーズポンプの選定に役立つ早見表も掲載しています。
メッシュ原理:内歯車ポンプの動作原理
内歯車ポンプは、駆動用ギア(外歯車、内側に配置)と被駆動用ギア(内歯車、外側に配置)で構成される 両ギアは同一方向に回転し、歯先同士が接触点で密着して、吸込み側と吐出し側を分離する
内歯車ポンプには主に2種類の構造がある。クレセント型では、駆動ギアと被駆動ギアの歯先の間にクレセント状の仕切り板を設け、歯先間からの漏れを防止する。クレセントなし型では、代わりに両ギアの歯先部が一点で直接接触することで吸込み側と吐出し側を分離し、実際にはかじりを防ぐため極めて小さなクリアランスが設けられる .
クレセントなし構造は、重要な効率的優位性を備えています。すなわち、駆動ギアと被駆動ギアの歯間容積が大きいため、歯幅、駆動ギアの歯先直径、および被駆動ギアの外径をクレセント式ポンプと同一にした場合、理論吐出量を大きくできます。あるいは、同じ吐出量を確保する場合には、被駆動ギアの外径を小さくできるため、ギアの滑り部で粘性油がせん断される際に生じる摩擦トルクを低減でき、機械効率が向上します。この点が、CVTを含む自動車用自動変速機において、本方式が広く採用されている主な理由です .
初心者のための吐出量計算
内歯車ポンプの吐出量を算出するには、2つの基本的なアプローチがあります。1つは幾何学的方法で、駆動ギアと被駆動ギアの歯によって囲まれる空間の体積を計算します。もう1つは理論トルク法で、まずポンプの理論トルクを算出し、その後、油に与えられる流体エネルギーがポンプ軸を駆動するために必要な動力(エネルギー損失は無視)に等しいという原理に基づいて吐出量を導きます。 .
初心者向けの実用的な流量計算式は次の通りです。
Q = Vd × N
ここで、Qは体積流量、Vdは1回転あたりの吐出量、Nは回転速度です。 .
理論的吐出量算出法は、歯車の歯間に挟まれる体積を、回転角の微小変化ごとに積分する必要があるため、従来より正確な適用が困難でした。つまり、あらゆる回転位置に対応した歯車図面が必要となるのです。CADツールの登場により、この手法は実用性を高めましたが、依然として、微小角度ごとの体積積分という複雑な処理を回避できる正確な理論トルク算出は、非常に価値のある手法です。 .
実際には、ギアポンプの吐出量は、ギアモジュールの2乗に比例します。ピッチ円直径を一定とする前提では、モジュールが大きくなるほどポンプの吐出量も増加します。 .
吸込み圧力制限
吸込み性能は、ポンプがキャビテーションを起こさず、信頼性高く運転できるかどうかに直接影響します。内歯車ポンプの場合、以下の制限が適用されます。
一般的なギアポンプの制限:実際の吸込み高さは0.5 mを超えてはなりません。
NBLシリーズ専用制限:自己吸い上げ高さは500 mmを超えてはならず、これは入口真空度が0.03 MPa(0.3 bar)を超えないことに相当します。強制給油方式を採用する場合、供給圧力は0.5 MPaを超えてはならず、これを超える場合は耐圧オイルシールを用いる必要があります .
レックスロスPGHシリーズの参考値:最小吸入圧力(無負荷時)は0.8 bar、最大吸入圧力(無負荷時)は2 barです .
これらの制限値を超えるとキャビテーションが発生し、気体の析出、油の気化、異音、内部表面の摩耗加速などのリスクがあります .
代表的な故障診断
吸入不足または吸入不能
一般的な原因には、内ロータが回転していない(駆動系のウォームギア、ウォームホイールまたはギア、内ロータの固定ネジや位置決めピンの緩みを確認)、原動機との回転方向が逆で吸込・吐出ポートが入れ替わっている、吐出配管の詰まり、吸込フィルターメッシュの目詰まり、内外ロータの摩耗が著しく閉じた空洞が形成できない、吸込パイプの端面がオイルタンク底面に接触している、ポンプ吸込口からの空気混入、あるいはオイルレベルが低すぎるなどがあります .
圧力の大きな変動
主な原因は以下のとおりです:外ロータとポンプ本体との間の偏心誤差が大きすぎる、またはクリアランスが大きすぎる(偏心誤差は±0.02 mm以内、外ロータとポンプ本体のクリアランスは0.04~0.06 mm以内であること);内外ロータの歯形精度が低い(特に粉末冶金成形ロータで見られる);径方向および面方向の振れが大きい;歯面すきまが大きすぎる(0.07 mm以内であること);あるいはポンプ内への空気混入です .
圧力が上昇しない
確認事項:ポンプ吸込部への空気の混入、内ロータの回転速度が低すぎる(主軸から内ロータへの動力伝達部の緩みやスリップを点検)、吸込口の一部閉塞、またはウォームギア/ウォームホイールあるいは歯車のかみ合い不良による内ロータ回転速度の変動 .
過剰な騒音
原因には、油量不足による空気混入、またはフィルタ網の一部閉塞による吸込不足、部品の著しい摩耗、およびポンプの動力伝達におけるかみ合い位置の変化が挙げられます .
外部からのオイル漏れ
確認事項:ポンプ本体の固定ねじや接続部の緩み、シールの損傷、吐出ポートフランジの密封不良、またはポンプ本体・カバーの変形・損傷 .
NBLシリーズ 選定時の留意点
NBLシリーズは、信頼性の高い自己吸い上げ性能を実現するための直歯共役内歯車ポンプです。初心者の方の選定に際しての主なポイントは以下のとおりです:
吐出量および回転速度:ポンプの吐出量を、所定の運転回転数におけるシステムの流量要件に合わせてください。インテルナル・ギア・ポンプは一般に脈動が少なく、安定した流量を供給できるため、出力の安定性が求められる用途に適しています。
吸込み構成:NBLシリーズは自己吸い上げ高さ500 mm以下(吸込み側真空度0.03 MPa以下)を要します。強制給油方式を採用する場合は、耐圧オイルシールへのアップグレードなしで供給圧力を0.5 MPaを超えてはいけません。 .
取付けおよびシャフト:フランジ形式(SAE規格またはISO規格)およびシャフト仕様(キー溝付きまたはスプライン付き)がご使用のシステムと適合しているかを確認してください。QTシリーズおよび同種のインテルナル・ギア・ポンプでは、標準のSAEおよびISO取付けインターフェースをご用意しています。 .
用途への適合性:インテルナル・ギア・ポンプは、高速運転性能、低騒音性、小脈動といった利点がありますが、歯形が複雑で、エクスターナル・ギア・ポンプに比べて製造コストが高くなります。 運転時の滑らかさと静粛性が求められる用途では、特に好まれます。
初心者向けの要点
内歯車ポンプは、駆動ギアと被駆動ギアの歯先が接触する点で吸込み側と吐出し側を密閉することで、滑らかで脈動の少ない流量を実現します。排量は、理論トルクの原理に基づいて算出するのが最も正確であり、実際の流量は Q = Vd × N で表されます。吸込み条件には厳しい制限があり、NBLシリーズの場合、通常は0.5 mの自己吸い上げ高さおよび0.03 MPaの吸込み真空度が上限です。現場での故障の多くは、空気の混入、回転方向の誤り、吸込みフィルターの汚染、あるいはローターギャップの過度な摩耗に起因します。QTシリーズまたはNBLシリーズのポンプを選定する際は、排量、耐圧性能、回転数範囲、吸込み構造、取付けインターフェースを、ご使用のシステム要件と照らし合わせて確認してください。